現役東大生たちが実践している合格のための勉強法 東大勉強研究会(著)フックマン社2008年

『現役東大生たちが実践している合格のための勉強法』という本を見かけたので中身を紹介したいと思います。目次だけ借りて、その内容を読んだ感想をつらつらと書き記します。

はじめに

この本は東大生100人にアンケートを取って、彼らがどうやって東大合格を勝ち取ったのかを紹介するという趣旨の本です。本書を読むに当たっての注意事項として、東大生がやっていたからと鵜呑みにするのでなく、なぜ東大合格者はその方法を採用したのか、という「なぜ」の部分を読者に理解してもらいたいと述べています。どんなテクニックでもそうですが、そのテクニックが効果を発揮する理由、原理原則が存在するわけですから、原理原則に則ってテクニックを考えれば、人によっては真逆のことが正解ということもあり得ます。表面的なことを真似するだけの、頭を使わない生き方は東大合格からほど遠いと言えるでしょう。著者らも、本書で紹介されていることを実践してみて、自分に合うことだけ取り入れて、自分に合うようにカスタマイズしてください、あくまで「参考書」としてお使いくださいと念を押しています。

第1章 大学合格のための「意欲力」

東大合格者の73%の人が事前に東大を見学に訪れていたそうです。オープンキャンパスに行くもよし、平日の雰囲気を知るもよしだと思います。東大に限りませんが、偏差値からイメージする大学と、実際に建物や学生が作り出している大学のイメージとはかなり隔たりがあることがあります。自分は現役のときに受験当日初めてその大学のキャンパスを訪れましたが、理系単科大学でしたが、そのあまりの殺風景さに愕然とした記憶があります。こんな地味な大学には来たくないなあと思い、受験に失敗して浪人したのちは別の総合大学にしました。

在学生の生の声を聴く機会を作るのは大事ですが、いまどきインターネットにもかなりの量の情報があります。本書で紹介されていたサイト2つ。

  • がんばれ国立大学受験生!! https://daigakujc.jp/ トップページにいきなり「今日の演習問題」があって、非常に実際的なサイトですね。I recently bought a coffee maker with a timer. It’s very convenient. Do you have (___) at home? のカッコの中に入る単語は何でしょう?じ
  • 受験生ネット http://www.jukensei.net/ 掲示板はスパムの書き込みだらけで荒れてますね。

東大の場合には、東大生が自らブログで受験ノウハウの情報を発信している人が多いのでそれも参考になります。

受験勉強は長いので区切りごとに小目標を立ててそれを達成したら、買いたいものを買う、おいしいものを食べる、デートするなど自分にご褒美をあげてモチベーションを維持したという話も紹介されていました。

第2章 大学合格のための「計画力」

さて、物事を成し遂げるためには計画を立てることが絶対に必要ですが、問題集の目次に目標とする期日だけ記入して満足してしまい実行できなかったという人も結構います。計画はいかに実行すべきなのでしょうか?

本書に紹介されていた面白いエピソードとして、目標を貼ることの効果がありました。「東大合格」とか、「定期テストで80点以上」とかのスローガンを部屋に張った生徒さん。思わぬ効果として、それまで「勉強しろ!」とうるさかった親が、それ以降は勉強しろとあまり言わなくなったんだそう。子供が勉強しようとしている態度が伝わって、言う必要がなくなったんですね。親が子供に勉強しろと文句をいうことほど、子どもからやる気を奪う行為はありません。ネットで見かけたことですが、東大合格者の共通点として、親が勉強しろといって文句を言ったり怒ったりしたことがない家庭だったということがあります。これは子供の東大合格を望むすべての親に知ってもらいたい事実です。

短期目標(1週間とか、1日とか)のTODOリスト作成も本書で勧められています。まあ社会人なら当たり前の話なのですが。高校生のときにTODOリストを作ろうと思ったことは自分はなかったです。こういう良い習慣は一生モノなのでお勧めいたします。長期目標をたてて、それに基づいて短期目標、今日、明日の目標とを立てるということが大切です。また、重要なこととして、目標が達成されなかったとしてもそこでへこまずに目標や計画を修正して実効性のあるものに適宜変更していくことです。本書では勉強した記録もつることを推奨していますが、実際に東大生のアンケートでは、勉強記録をつけたという人は少数派だったようです。社会人なら当たり前のことでしょうが、そこまでできなくても東大に合格することは可能ということでしょうか。

第3章 大学合格のための「集中力」

受験勉強に集中するための場所としては、自宅、学習室、ファミレス、図書館の自習室、などいろいろあると思います。それぞれ一長一短ありますので自分の好みで選べばよいのではないでしょうか。BGMについても本書でアンケート結果があって、これはちょっと驚きましたが、BGMありの人が過半数いました。ただしBGM肯定派と否定派の意見は激しく対立しているので、自分に合うほうを選ぶのがよいでしょう。ちなみに自分はBGMがあったとしても集中しはじめたらそれが聞こえなくなって気にならなくなります。なのでファミレスのような喧噪の中でも勉強できます。むしろ、多少の雑音があったほうがいいくらいかもしれません。

勉強に時間制限をつけるかということも本書で話題になっています。問題演習のときに時間を切ってやることは受験が近いときには有効というか当然そうすべきでしょう。しかしまだ高1、高2であれば時間無制限で、とにかく自分の頭を振り絞って自力で解けるかどうかにチャレンジするほうが勉強が面白く感じられるのではないでしょうか。また、生活習慣の確立のために時間を切るというのはありだと思います。何分勉強したら何分休憩しようみたいな。

第4章 合格のための「記憶力」

記憶を助けるための音読が推奨されています。英語などは当たり前のことですよね。書きながら覚えるということも実践した人が多いようです。しかし、英語のスペルなどは実際に書かずに指で紙面をなぞって覚えるほうが圧倒的に速いし効率的ということを東大合格者がYOUTUBEの動画(なんかのTV番組)で紹介していたのを見たことがありますので、その方法もお勧めだと思います。数学や物理などはそれこそ白紙に自分で書いて、解答をゼロから作り上げるという作業が当然必要になります。これは落とし穴だと思いますが、演習書の解答を読んで理解した気になっても、解答を伏せて、ゼロから自分で解答が書けるかというと多くの場合書けないはずです。試験当日はもちろん白い紙を渡されてそこに解答を書き記すことが要求されるわけですから、日頃から、数学や物理の問題の答えはきっちりと頭を使って解き進めてその内容を論理だてて書くという訓練を行う必要があります。指で書くという話は、本書でも先のページで紹介されていました。みながやっていることのようです。指で書くときに書かれた文字を当然イメージしているわけです。

記憶は定着させないと意味がありませんが、記憶を定着させるために必要なことが「復習」です。本書では、まずその日に学んだことはその日のうちに復習しましょうと勧めています。これは記憶の定着というよりも、理解できていたかどうかの確認じゃないかと思います。その後の復習のタイミングとしては、一週間後、一か月後とやるのが良いようです。まあ、忘れる寸前のタイミングが自分の場合にはいつかを自分で把握してそのタイミングで復習すると定着しやすいのではないでしょうか。

新しいことを記憶するためには、その新しいこととそれに関するすでに記憶の中にある古いこととを関連させる作業なのではないかと自分は思います。そこで有効なのが、語呂合わせによる記憶です。まあこの場合はナンセンスな組み合わせなのですが、とりあえず覚えなきゃいけないものが頭に入ります。東大合格者も多くの人が語呂合わせ愛好家だったようです。『ゴロで覚える古文単語ゴロ565』が人気だったとか。

暗記をたすけるアイデアとして本書では、「情報の一元化」を挙げています。つまり、メインの一冊として教科書なら教科書と決めて、そこに足りない情報は、参考書その他の内容を、教科書に書き込んでいくということです。ですから、受験当日はその教科書一冊あれば安心感があると言います。もちろん自分だけのノートでもいいでしょう。お気に入りの参考書があればそれに決めてもいいかと思います。自分だったら今なら例えば英語なら「総合英語FOREST(最新版の書籍タイトルはEVERGREEN)」と決めて、これで足りない情報がもしみつかればこれにどんどん書き込んでいくようにするかなと思います。まあ、この一元化に関してはアンケートでは半数の人がやっていたという程度なので、人それぞれかもしれません。

記憶の定着、解法をマスターするための絶対的に重要なこととして、「同じ問題集を繰り返し解く」ことが本書でも挙げられています。これは東大合格者の声で繰り返し聞かれることです。東大合格者が使う定番の問題集を自分は「何周した」みたいな言い方をよく聞きます。

東大生のノートは必ず美しいとかいう本が売られていますが、本書のアンケートによれば、網羅的な「まとめノート」を作った人は少数派でした。そんな非効率なことをする必要はないのでしょう。自分が覚えるべきことをピンポイントでまとめたほうが効率的だと思います。出来上がったノートがきれいだと自己満足に浸れるでしょうが、非常に時間がかかるわりには意外と頭の中には入っていなかったりしますから。

文房具屋によくある「暗記カード」は東大合格者はあまり使っていなかったようです。

最近は受験参考書が漫画化されていますが、これに関しては東大生はあまり漫画に頼っていません。面白いけれども情報量が少なすぎるので、興味を持つためのきっかけ程度というのが正しい使い方のようです。源氏物語『あさきゆめみし』などは自分も読んだことがあります。少女漫画なので男である自分にはあまりピンと来ませんでした。

第5章 大学合格のための「生活力」

そうそう、受験地獄とか受験戦争といった言葉が新聞の上を踊っていた時代には、四当五落という言葉が有名でした。今時の受験生はこの言葉を知らないのではないでしょうか?毎日の睡眠時間を4時間にまで切り詰めて勉強したものは大学に合格でき、5時間以上眠ったものは大学に落ちるという格言です。まあ、真実からは程遠い格言だとは思いますが、まことしやかに言われたものです。意外というか意外でもないのかわかりませんが、東大合格者の睡眠時間は結構長いです。半数が6~7時間眠っていました。6時間以上の合計は、3分の2を占めます。5~6時間の睡眠時間だったという当該合格者は2割弱、6時間以下の人の割合は3分の1程度です。まあ睡眠を削って勉強して合格した人もいるようですが、大多数は常識的な睡眠時間をとっていたようです。

東大受験性は受験勉強一辺倒だったかというと全然そんなことがなくて、9割の東大合格者は趣味を持っていたのだそうです。気分転換にはいいのでしょう。

「受験は団体戦」という言葉があるんだそうですが、東大受験にこれが当てはまるのかというと、当てはまるようです。東大合格者の8割が、勉強を互いに教えあっていたのだそうです。人にものを教えることによって、自分があやふやだった部分がはっきりして、自分の理解が深まり定着するので、教える効果って高いんですよね。

石浦教授の出張講義

本書ではところどころに東大教授のコラムが挿入してありましたが、大学入試に対する東大の考え方が紹介されていたので、紹介しておきます。石浦先生によれば、大学の入試問題というのは、こういう学生に来てもらいたいという大学が高校生に宛てたメッセージなのだそうです。受験生の人には、このメッセージを汲み取ってもらいたいとのことです。メッセージの内容は、例えば、自分の頭で考える訓練をちゃんとしておいてくださいねとか、教科書に載っているいないに関わらずいろんなことに興味を持って生活してくださいね、といったことです。つまり、大学合格で燃え尽きてしまうのでなく、大学合格後、入学後に伸びてくれそうな学生であってほしいということです。

 

以上、『現役東大生たちが実践している合格のための勉強法』の内容を、試験を交えて紹介しました。まあ、当たり前のことを当たり前にこなした高校生が東京大学の入学試験を解いて合格してるのねということがわかったように思います。

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